研究活動・論文

ベトナム人労働者には困った時頼りになる同僚の存在が重要:第97回日本産業衛生学会(広島)で発表

2024年06月05日

研究を行った部門:
一般財団法人淳風会健康管理センター

研究を発表した者:
峰山 幸子(メンタルサポートセンター長・臨床心理士)

学会発表情報

発表者 峰山幸子、宮田美里、川上憲人(一般財団法人淳風会 淳風会健康管理センター)
演題 「ベトナム人労働者の職場のサポートと心理的ストレス反応の関係ー日本人との比較検討ー」
学会 第97回日本産業衛生学会学術大会、広島国際会議場、2024年5月22~25日、ポスター(オンデマンド配信)

ポイント

  • ベトナム人労働者は日本人労働者と比較して、上司、同僚、家族友人のサポートと心理的ストレス反応との関係が大きい傾向にあることが認められ、特に、ベトナム人労働者の精神的健康にとって、困った時頼りになる同僚の存在がより重要であることがわかりました。
  • 岡山県でもベトナム人の労働者が多く働いています。職場で周囲の人が「困った時相談に乗るよ」と声掛けをすることがベトナム人の労働者の方の心の健康に役立つかも知れません。

発表内容

本研究では、日本で働くベトナム人労働者の心理的ストレス反応と上司、同僚、家族・友人のサポートとの関連性について日本人との比較より検討を行った。

2022年1月から12月に弊会にてベトナム語のストレスチェックを受託した企業(11社)で働くベトナム人労働者163名(男性103名,女性60名,平均年齢29.1±4.8)と日本人2,304名(男性1,749名,女性555名,平均年齢43.6±12.6)を対象として解析を行った。

心理的ストレス反応と上司、同僚、家族友人のサポートの測定には職業性ストレス簡易調査票を用いた。

性別、年齢を調整して共分散分析を行った結果、心理的ストレス反応は、日本人労働者と比較してベトナム人労働者の方が有意に低かった。

上司および同僚のサポートは、日本人労働者とベトナム人労働者の間に有意な差は認められなかったが、家族友人のサポートは、ベトナム人労働者の方が優位に高かった。
また、上司、同僚、家族友人のサポートと心理的ストレス反応の性別、年齢を調整した偏相関係数は、ベトナム人労働者と日本人労働者でそれぞれ、-0.470と-0.428、-0.434と-0.346、-0.320と-0.287であり、中でも、同僚サポートを構成する「困った時頼りになる」は-0.414と-0.300を示し、同僚のサポートおよび「同僚は困った時頼りになる」の項目において、相関係数の絶対値が大きく、効果量qが0.1を超えて小さい差が認められた。

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