胃過形成性ポリープの新しい発症原因を解明:川崎医科大学との共同研究を米国の学会で報告
2024年06月25日
研究を行った部門:
一般財団法人淳風会健康管理センター及び川崎医科大学総合医療センター
研究を発表した者:
綾木麻紀(川崎医科大学総合医療センター 医師)、春間賢(一般財団法人淳風会 医療診療セクター長)
学会発表情報
発表者 | 綾木麻紀(1)、眞部紀明、藤田穣、勝又諒、武家尾恵美子、小西貴子、春間賢(2)
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演題 | 「EXPRESSION OF HEPATOCYTE GROWTH FACTOR AND GASTRIN RECEPTOR IN HUMAN HYPERPLASTIC POLYPS」 |
学会 | 2024年米国消化器病週間、米国ワシントンD.C.、2024年5月18日 |
ポイント
- 胃過形成性ポリープ(GP)はピロリ菌感染による炎症を起こした胃粘膜に発生するポリープ(突起状のできもの)で、がんが発生することもあります。
この発生に関係する要因として、ガストリン受容体(GR)とHepatocyte Growth Factor(肝細胞増殖因子:HGF)の発現について検討しました。 - GPの発生はガストリンによる直接的な細胞増殖作用ではなく、HGFを介した血管増生作用がその発生に関与していることが示唆されました。
この発見は胃がんの予防に役立つ可能性があります。
発表内容
GPは胃粘膜の腺窩上皮の過形成で起こる胃の良性疾患(図1、2)ですが、その成因については明らかでありません。
ガストリンは胃前庭部粘膜にあるG細胞から分泌される消化管ホルモンで、消化管粘膜の増殖作用があります。
一方、HGFは間葉系細胞から分泌され、肝細胞以外にも多数の上皮細胞や内皮由来の細胞に対する多機能な増殖活性作用を持ち、さらに細胞分化、血管再生作用など多くの機能を持ちます。
ガストリンやHGFなどのいわゆる増殖因子が腫瘍性病変など、いろいろな胃疾患の発生に関わっていることが考えられています。
今回、GPにGRとHCGの発現について免疫組織学的手法で検討したところ、GPの細胞にはGRの発現は認められず(図3)、HCGが表層上皮及び間質存在する毛細血管内皮細胞とに強く発現が認められました(図4)。
このことは、GPの発生はガストリンの胃粘膜上皮細胞に直接作用するのではなく、HGFを介した血管増殖作用が成因の一つであることが明らかになりました。
図1:胃ポリープの内視鏡像
図2:胃ポリープの組織像
図3:ガストリン受容体(GR)の免疫染色
図4:肝細胞増殖因子(HCG)の免疫染色