研究活動・論文

スマートフォンで学ぶ認知行動スキルがうつ状態を改善─世界最大の臨床試験をNature Medicine誌に掲載

2025年05月09日

研究を行った部門:
一般財団法人淳風会 淳風会健康管理センター

研究を発表した者:
川上 憲人(代表理事 理事長)

学会発表情報

著者 古川壽亮, 田近亜蘭, 豊本莉恵, 坂田昌嗣, LUO Yan, 堀越勝, 明智龍男, 川上憲人, 中山健夫, 近藤尚己, 福間真悟, Ronald C. Kessler, Helen Christensen, Alexis Whitton, Inbal Nahum-Shani, Wolfgang Lutz, Pim Cuijpers, James M. S. Wason, 野間久史
論文タイトル Cognitive behavioral therapy skills via a smartphone app for subthreshold depression among adults in the community: the RESiLIENT randomized controlled trial
掲載雑誌名 Nature Medicine
DOI 10.1038/s41591-025-03639-1
論文へのリンク https://doi.org/10.1038/s41591-025-03639-1

ポイント

  • スマートフォンを用いて認知行動療法(CBT)スキルを自学自習できるアプリ「レジトレ!」を開発し、5種類のCBTスキルの効果を検証する世界最大の無作為割り付け比較試験を実施しました。
  • 3,936名の参加者のデータを解析した結果、すべてのスキルがうつ状態を改善し、特に行動活性化+認知再構成、行動活性化+問題解決、行動活性化+アサーション、睡眠行動療法の高い効果が確認されました。これら効果は、26週間後においても持続していました。

発表内容

10%以上の人が経験し、労働生産性の低下などの原因となるうつ状態を有する成人を対象に、スマートフォンを用いて認知行動療法(CBT)スキルを自学自習できるアプリ「レジトレ!®」を開発し、5種類のCBTスキルの効果を検証する世界最大の無作為割り付け比較試験(RCT)を実施しました。「レジトレ!®」は、CBTの5つの重要なスキル(行動活性化、認知再構成、問題解決、アサーション、睡眠行動療法)を組み込んだアプリで、個々のスキルおよびその組み合わせを6週間にわたり提供します。参加者は、日本全国からオンラインで募集し、スマホアプリによる介入と評価を通じて、うつ状態に対する効果を検証しました。3,936名の参加者のデータを解析した結果、すべてのスキルがうつ状態を改善し、特に行動活性化+認知再構成、行動活性化+問題解決、行動活性化+アサーション、睡眠行動療法の高い効果が確認されました。これら効果は、26週間後においても持続していました。本研究は、スマホを活用した新たなセルフケアの方法を提示するものであり、大きな意義があります。今後の働く人のメンタルヘルス施策の発展に大きく貢献することが期待されます。

←新着情報一覧に戻る

←HOMEに戻る