「ウェルビーイング経営」って何?中小企業にも意味がある?第98回日本産業衛生学会学術大会で調査結果を発表
2025年09月02日
研究を行った部門:
一般財団法人淳風会健康管理センター
研究を発表した者:
峰山 幸子(メンタルサポートセンター長・臨床心理士)
学会発表情報
発表者 | ○峰山幸子1、水本正志2、遠藤恵子1、田畑美穂1、稲谷理沙1、平山美雪1、内田陽之2、林有美子2、山根英之2、倉谷昂志2、櫻木園子2、森口次郎3、川上憲人1 1一般財団法人淳風会、2一般財団法人京都工場保健会、3一般財団法人京都工場保健会産業医学研 |
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演題 | 「健康経営・ウェルビーイング経営に関する企業規模別の認識と取組みの差異(第一報)」 |
学会 | 第98回日本産業衛生学会、仙台市、2025年5月14日~17日 |
ポイント
- 健康経営は広く定着しており、特に中小企業で関心が高く、実践も進んでいることがわかりました。
- ウェルビーイング経営(WB経営)については、「認知度」「理解度」「実施率」いずれも健康経営より低く、大企業では関心が高いものの、中小企業では今後の課題であることが明らかになりました。
発表内容
健康経営優良法人に認定されるなど、健康経営に積極的に取り組む関西・中国地方の企業19社(大規模12社、中小規模7社)にインタビュー調査を行いました。
本調査では、WB経営を「疾病予防のみならず、身体的・精神的・社会的側面のポジティブな状態を実現し、人的資本を高める経営」と定義し、「健康経営が成立していることを前提とした上位版」と位置づけています。
調査の結果、
①『WB経営の定義や疑問』では、大企業からは「違和感はない」「より包括的で抽象的」との意見があった一方で、中小企業では「健康経営との違いがわかりにくい」「初めて知った」との声が目立ちました。
②『取り組みの重要性』では、健康経営を重要とした割合は大企業83%、中小企業100%でしたが、WB経営は大企業67%、中小企業57%にとどまりました。
③『経営層の理解度』では、健康経営は大企業83%、中小企業100%が「高い・まあ高い」と回答したのに対し、WB経営は大企業75%、中小企業57%でした。
④『取り組み状況』では、健康経営は大企業92%、中小企業100%が実践していたのに対し、WB経営は大規模66%、中小企業57%が「実践・検討中」にとどまりました。取組みのきっかけとしては、大企業では「経営方針」、中小企業では「会社のイメージアップ」が多く挙げられました。
以上から、健康経営は大企業・中小企業ともに定着している一方、WB経営はまだ十分に浸透しておらず、特に中小企業においては経営層の理解や実施率の向上が今後の課題であることが明らかになりました。