1ヶ月後に1kg以上減量できれば保健指導は成功する(第64回日本人間ドック学会学術大会で発表)
2023年09月04日
研究を行った部門:
一般財団法人淳風会健康管理センター
研究を発表した者:
谷本 彩(保健指導部栄養指導課・管理栄養士)
学会発表情報
発表者 | 谷本 彩、大原 彩実、遠藤 恵子、堀井 綾子、増田 和子、萱嶋 英三、市場 俊雄、井上 和彦、吉原 正治、春間 賢(一般財団法人淳風会 淳風会健康管理センター) |
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演題 | 「第4期特定保健指導に向けた効果的な保健指導の検討」 |
学会 | 第64回日本人間ドック学会学術大会、高崎市、2023年9月1~2日 |
ポイント
- メタボリックシンドロームを対象とする特定保健指導において、1か月後に1㎏減量できるかどうかが、厚生労働省が設定するアウトカムの達成や次年度の健康診断結果の改善と関係することを見出しました。
- 特定保健指導を受けた方が1か月後に1㎏の減量を達成することが、生活習慣改善成功のバロメーターと言えそうです。
第4期特定保健指導では、アウトカム評価が導入され、腹囲2㎝・体重2kg減が主要達成目標となる。体重変化と成果の関連を検討し、効果的な保健指導の構築に役立てることを目的として、当センターにて2020年度に当日特定保健指導(積極的支援)を実施し、2021年度に健診受診が確認できた580名を対象として分析を行いました。
支援開始1ヶ月後に1kg以上減量できている者をA群(男性214名、女性20名)、できていない者をB群(男性314名、女性32名)とし、最終評価時と次年度健診時の腹囲2㎝・体重2kg減達成率と保健指導レベル(階層化判定)の変化、健診結果(体重、BMI、腹囲、血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、空腹時血糖)を比較しました。
結果として、腹囲2㎝・体重2㎏減の達成率は、最終評価時でA群:男性45.3%、女性75.0%、B群:男性16.6%、女性21.9%と、男女ともにB群よりA群で有意に高くなりました。男性では次年度の健診時でもA群:38.8%、B群:18.2%とB群よりA群で有意に高くなりました。
健診結果の比較では、A群男性ではLDLコレステロール以外の項目が、A群女性では体重、BMI、腹囲、空腹時血糖が改善方向に有意に推移していました。
初回面談1ヶ月後に1kg以上減量することができれば、最終評価時に腹囲2㎝・体重2kgの減量を達成する可能性が高くなり、翌年の健診結果も改善しやすくなると考えられました。