結果表の見方

01.計測

肥満は“生活習慣病の温床”となっていることはよく知られています。肥満(特に内臓脂肪型肥満)を最も簡便な方法で評価する方法として、腹囲とBMI(Body Mass Index)を表示しています。腹囲が基準値(男性85cm・女性90cm)以上またはBMIが25以上になると病気になりやすいので食べすぎや運動不足に注意しましょう。
BMI=体重kg/{身長(m)×身長(m)} 標準体重=身長(m)×身長(m)×22

02.視力

裸眼視力もしくは、矯正(眼鏡・コンタクトレンズ)視力を測定します。
視力の低下は、頭痛や肩こりなどの原因にもなります。なお、急激に視力が低下した場合は、緑内障などの病気が潜んでいる場合もありますので、眼科に受診してください。

03.聴力

1000Hz(ヘルツ)…話し声くらいの高さのポーという音と、4000Hz(ヘルツ)…キーンという高い音の2種類の音による聞こえの検査です。
日常生活の中で聴力低下や耳鳴りがあれば耳鼻科に受診してください。

04.血圧

血圧は、朝と夜、寒さ暑さ、食事や運動の前後、感情の高ぶり、労働時と安静時、さらには、その人の体格、測定体位などによって絶えず変動しているもので す。一般的には、最高血圧が140以上または、最低血圧が90以上を高血圧とします。(最高血圧は年齢と共に少しずつ高くなります。)治療の必要性につい ては、医師の指導に従ってください。
正常血圧 最高血圧130未満 かつ 最低血圧85未満

05.検尿

蛋白

尿蛋白が陽性の場合は、腎臓の疾患が疑われます。しかし、健康者も激しい運動の後など、一過性に尿蛋白がみられることがあります。二次検査としては尿沈渣、あるいは腎臓機能検査を行います。

尿糖が陽性の場合は、糖尿病が疑われます。しかし食後などのように多量の糖分を摂った後などにも尿糖がみられる場合があります。二次検査としては血液(血糖、HbA1c)検査あるいは、ブドウ糖負荷試験を行います。
腎性糖尿とは…血糖値が一定の限度を超えると尿中に糖がもれでてきます。このときの血糖値を尿糖排泄閾値といいます。この値には個人差があり、尿糖排泄閾値が低いと、血糖値が正常でも尿糖がでることがあります。これを腎性糖尿といいます。特に心配はいりませんが、後で糖尿病に移行するケースもあるので、血糖値を測定することをお勧めします。

潜血

尿潜血陽性の場合は、腎臓や尿路系の疾患が疑われます。しかし、健康者も激しい運動の後、熱があるときなど、一過性に尿潜血がみられることがあります。二次検査としては、腎臓や尿路系の精密検査をします。

ビリルビン

古くなった赤血球が分解されてできる色素がビリルビンです。本来は、尿中にでてくることはありませんが、肝障害や胆道の閉塞などにより尿中にでてきます。ビリルビン陽性の場合は、肝胆道系の疾患が疑われますので、再検査を受けてください。

06.胸部X線

胸部X線検査は、呼吸器系の病気、特に肺結核と肺ガンの早期発見に役立つ他、心臓や大動脈、横隔膜、脊椎などの状態を知るための検査です。この他肺炎、肺気腫、肺のう胞、などの診断にも欠かせない検査です。
肺のう胞とは…肺の組織(肺胞)が癒着し、膨らみ(のう胞)となった状態。ほとんどの場合心配ありません。
治癒型…肺結核が完全に治った痕(あと)です。(知らないうちに罹って治っていることがあります)。
炎症後痕…肺炎など、炎症が治った痕です。皮膚で言うキズあとですので心配ありません。

胸部X線3ヵ月後再検査とあるが、それでいいのか(間に合うのか)?
特に急を要する所見ではありません。3ヵ月というのは目安ですので咳・痰など気になる症状があれば受診してください。

07.胃部X線検査

胃部X線検査は、バリウムを飲み、消化管を造影し、テレビモニターで観察すると同時にX線撮影をして、臓器の形の変化や異常を診断します。胃だけでなく、食道から十二指腸まで調べることができます。
不整アレア…きれいに並んだ胃の表面の粘膜が、何らかの原因により不整になっている状態です。なぜ不整になっているか、胃カメラで詳しく調べることが必要です。
陥凹性病変…胃の表面に凹みがある状態。(潰瘍など)凹みの原因と良性か悪性か判断の必要があります。
隆起性病変…胃の表面にふくらみがある状態。(ポリープなど)膨らみの原因と良性か悪性か判断の必要があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍瘢痕と所見があるが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍と言われたことがないが…?
知らないうちに胃潰瘍・十二指腸潰瘍を患って治った傷あとです。心配ありません。
胃ポリープ:放置可とあるが、本当にそれでいいのか?
小さいものは放置可としています。年1回は検査を行い、大きくなっていないか、経過を観ることが大切です。
コメントに胃カメラを…とあるが、胃カメラでないといけませんか?
胃のレントゲンでは異常がある部位や大まかな状態はわかりますが、正確に診断するには胃カメラを受けていただく必要があります。胃カメラのときに組織を採って調べることにより良性、悪性の区別も出来ます。

08.腹部超音波検査

腹部に超音波を当てて、腹腔内の臓器から跳ね返ってくる反射波(エコー)を受信し、コンピュータで解析して映像化します。この映像から肝臓や胆嚢、膵臓、腎臓などの腹部の様々な臓器の異常を知ることができます。この検査は苦痛もなく、X線の被曝もない安全な検査です。

09.心電図検査

心臓は、血液を全身に循環させるポンプで、休むことなく収縮を規則的にくり返します。その作用を起こさせるために、電気的刺激が発生し、心筋をつたわりますがそれを手、足、胸につけた電極によって記録されたものが心電図です。
これにより、不整脈をはじめ、心肥大、心筋虚血の状態などを把握することができます。

異常Q波とは?
異常Q波という所見は、心臓自身の電気的な刺激の流れの一部分が通常の方向と異なるというだけの事で、特に左室肥大・心筋症・心筋梗塞などの他の所見がなければ何ら問題はありません。
ST変化とは?
ST変化というのは心電図の波でSTという部分があって、心筋に異常(心筋の肥厚・虚血)があって変化する場合や、心臓を興奮させる刺激の流れ方が変わった為に変化する場合があります。
T変化とは?
心電図の波形でT波の低くなった状態をT変化と呼びますが、その成因は食事性・若年・女性・高血圧の影響など様々です。
WPW(Wolf-Parkinson-White syndrome)症候群とは?
全身に血液を送る上で問題はありませんが、刺激が空回りして頻拍発作を起こすこともありますので、念の為、過度及び体調不良時の運動は避けてください。しかし頻拍発作の既往がない方は、日常生活に何ら問題ありません。
完全右脚ブロック・不完全右脚ブロックとは?
右脚ブロックというのは、特殊心筋の右側(右脚)が刺激の伝わり方が通常より悪くなった状態で、心室全体が興奮する時間が0.12秒以上かかるものを完全右脚ブロックと呼び、それ以下のものを不完全右脚ブロックと呼びます。しかし、全身に血液を送る上で、この遅れが影響を与えることは殆どありませんので、 心配ありません。
洞性徐脈とは?
洞結節から刺激が出ているが、心拍数が50未満の場合。問題はありません。
ペースメーカー移動とは?
心臓を収縮させる司令(ペースメーカー)は通常、右心房にある洞結節という場所から出ていますが、その司令が他の場所から出る場合もよくあります。その場所が一定しているものを異所性調律、一定せず、移動するものをペースメーカー移動と呼びます。特に心臓が悪いということではないので、心配ありません。
I度房室ブロックとは?
心房からの興奮は一つも脱落することなく、すべて心室へと伝えられます。しかし、心房から心室への伝導に要する時間が正常より長くなるものをI度房室ブロック といいます。I度房室ブロックでは全身に血液を送る上でこの遅れが影響を与えることは殆どありませんので心配はいりません。
左室肥大(弁膜症・心筋症・高血圧などで生じる)とは?
心臓左室が肥大を起こしている状態です。心電図上の左室肥大には、心臓から出る電気が通常より強く、又、心筋の肥大を疑わせる変化が認められます。しかし、実際心臓が肥大を起こしているかは、心エコー・胸部レントゲンなどで調べなければわかりません。どうして心臓肥大になったかを調べ、心臓を取り巻く状態を改善する必要があります。
期外収縮とは?
心臓の拍動は、心臓自ら刺激を出し殆ど規則正しく拍動しています。ところが、洞結節以外からの刺激が早期につくられ心臓を興奮させる場合があります。これを期外収縮と呼び、上の部屋が発生源の場合を上室期外収縮、下の部屋が発生源の場合を心室期外収縮と呼びます。この期外収縮は、通常の健常者にも認められますので頻度が多くなければ問題はありません。

10.眼底検査

眼底(目の奥)は、体の中で唯一、直接肉眼で動脈をみることができる部位で、眼底の血管は脳の血管とよく似た変化をします。そこで、眼底の血管の変化をみることで、高血圧や動脈硬化の進行度、眼球の病気、脳腫瘍、糖尿病などの手がかりがつかめます。

結果の見方としては、H~高血圧性変化、S~細動脈硬化を4段階で表現し数字が多いほど重症です。

内視鏡検査について

胃内視鏡検査[胃カメラ]

口から内視鏡スコープを入れて、食道・胃・十二指腸を検査します。
内部を直接見ながら検査するので、早期がんを発見することが可能であり、異常があれば粘膜を一部採取して組織検査に出します。
必要な時は、がんと関連の深いピロリ菌の有無を検査します。

※当日の朝食は、絶食としますが水分の摂取は可能です。医師の許可があれば日頃から飲んでいる薬は当日朝も服用することができます。

ピロリ菌抗体検査

胃炎や胃潰瘍.胃がんなどの原因となるピロリ菌の存在を血液で調べる検査です。40~50代以上の方では感染率が高く、胃潰瘍を繰り返す方などは胃がんのリスクが上昇すると言われており除菌することをおすすめします。除菌後は尿素呼気試験などの検査を用いて除菌判定を行います。ただ、胃・十二指腸潰瘍がなければ除菌治療に保険適応はなく、自費での治療となります。

検査項目 基準値
ピロリ菌抗体 (-)

ペプシノゲン検査

加齢や、繰り返す胃炎の結果胃粘膜の萎縮がおこり、消化液の前駆物質であるペプシノゲンの分泌が減少します。血中のペプシノゲンを調べることで胃の粘膜の萎縮が推測できます。慢性的な萎縮性胃炎では胃がんが発生しやすくなるといわれているため萎縮性胃炎の疑いがある場合、精査になる場合があります。

判定 PGⅠ   Ⅰ/Ⅱ比
正常 70.1以上 または 3.1以上
異常 70以下 かつ 3.0以下

大腸内視鏡検査

肛門から内視鏡スコープを入れて大腸全体を直接観察し、必要があれば組織検査を行います。
ポリープやがんなどの早期発見につながります。

※当日は検査用の下剤を約2時間かけて飲み、きれいな水様便になってから検査を行います。

便潜血反応

便中のヘモグロビンを調べる検査です。肉眼では見えない大腸からの出血を調べる検査です。1回でも(+)判定の場合、がんやポリープ、痔核など出血源を確認するため、大腸内視鏡検査を行います。

検査項目 基準値
便潜血 (-)

女性特有の検査と病気『乳がん・婦人科・骨密度』

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血液検査の標準値とその意味(H30.4~)

検査項目 標準値 意味
赤血球数(RBC) 万個 男410~550
女370~500
身体の臓器に酸素を運ぶ働きがあります。減少すると貧血症が疑われます。
血色素量(Hb) g/dl 男13.1~16.3
女12.1~14.5
赤血球に含まれる赤い色素で鉄分を含んでいます。鉄欠乏性貧血では減少します。淳風会では貧血の有無を血色素量の値によって判定しています。
ヘマトクリット(Ht) % 男40~50.9
女35~45.9
ある一定の血液中に存在する赤血球の割合を表したもので、貧血と赤血球増加症の診断に役立ちます。
白血球数(WBC) 個 3100~9899 体内に進入する異物や細菌に対し除去・感染防止の役目をします。感冒・鼻炎・歯周炎などの感染症や炎症性の疾患で増加します。喫煙者で増加する事があります。
GOT(AST)
GPT(ALT) IU/l
30以下 肝臓・心臓・骨格筋などに多く含まれる酵素で、これらの臓器が障害されると血液の中に出てきて高い値を示します。GPTがGOTより多い場合は脂肪肝の可能性があります。
γ-GTP IU/l 50以下 特にアルコールに対する感度が良いので、飲酒による肝臓への影響がわかります。
ALP IU/l 104~338 全身の臓器や組織に含まれている酵素ですが、代表的なものとしては骨・肝臓の疾患で上昇します。
総ビリルビン(T-Bil) mg/dl 0.2~1.2 肝機能障害の代表的な症状である黄疸の指標となります。
総蛋白(TP) g/dl 6.3~8.1 身体の栄養状態の指標として役立ちます。
総コレステロール(TCH) mg/dl 140~199 ホルモンや細胞膜を作る重要な成分です。増加すると心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化を基盤としておこる生活習慣病の原因となります。
HDLコレステロール(HDL-CH) mg/dl ≧40 “善玉コレステロール”と呼ばれるもので動脈壁のコレステロールを拾い出し、動脈硬化を防ぐ働きがあります。毎日無理のない運動(早足歩行など)をすれば高めることができます。逆に喫煙は低下させるといわれています。
LDLコレステロール(LDL-CH) mg/dl 60~119 “悪玉コレステロール”と呼ばれるもので、血管壁に沈着し、動脈硬化を促進する働きがあります。
中性脂肪(トリグリセライド) mg/dl 30~149(空腹時) 皮下脂肪の主成分で、増加すると動脈硬化を始めとして種々の生活習慣病の原因となります。
尿素窒素(BUN) mg/dl 7~24 蛋白質の代謝産物で、腎機能障害などで高値になります。
クレアチニン mg/dl 男~1.00
女~0.70
腎機能の軽度の低下でも上昇する為、腎機能障害の早期発見に役立ちます。また、慢性腎炎などの経過観察などにも用いられます。
尿酸(UA) mg/dl 2.1~7.0 尿酸の生成と排泄のバランスがくずれると、痛風、腎障害などをひきおこします。アルコールを飲む方、高蛋白食をよく摂る方は高くなる傾向があります。
血糖 mg/dl 80~99(空腹時) 血液中のブドウ糖濃度で糖尿病の早期発見に役立ちます。
(平成25年度より、標準値が70~99から80~99に変更になっています)
HbA1c(NGSP) % 4.6~5.5 食事による変動がほとんどなく糖尿病のコントロールをみるのに適した検査です。
HBs抗原 (-) B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかわかります。

※標準値を外れている場合でも異常であるとは限りませんので医師の指示に従って再検あるいは精密検査をお受けください。

※検体検査は株式会社LSIメディエンスに委託しております。

その他主な検査の標準値とその意味

検査項目 基準値 意味
ペプシノゲン PGI>70または
PGI/II>3.0
胃の萎縮性胃炎の検査です。ペプシノゲンが少ないと萎縮性胃炎になっている可能性があります。萎縮性胃炎は胃がんとの関連があるとみられています。
ピロリ抗体lgG (-) ヘリコバクター・ピロリ菌は胃に生息する細菌で、胃や十二指腸潰瘍などと関連が指摘されています。この検査が陽性の場合はピロリ菌感染の疑いがあります。
便潜血 (-) 便に混じっている目に見えない微量の血液を検出して大腸がんやポリープを発見します。また痔出血でも反応します。
NT-ProBNP 0~55.0 心臓から分泌されるホルモンの一種で早期心不全や重症度の把握、心不全の予後予測を検査します。NT-ProBNPは心電図検査の情報を補い、自覚症状のない方の心臓疾患の早期発見に重要です。
HBs抗原定性 (-) B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかわかります。
HBs抗体定性 (-) B型肝炎ウイルスに対する免疫がわかります。(+)の方でも現在感染の心配はありません。
HCV抗体 (-) C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかがわかります。
腫瘍マーカー 基準値 意味
シフラ(CYFRA) 0~3.5 肺がん(特に扁平上皮がん)で高い値を示します。高齢者の方でも高い値を示すことがあります。
NSE 0~16.3 肺がん(肺小細胞癌)で高い値を示します。
CEA 0~5.0 大腸がんをはじめとする消化器系がんで高い値を示します。良性疾患、高齢者や喫煙者でも高い値を示すことがあります。
αフェトプロテイン(AFP) 0~10.0 肝臓がんで高い値を示していますが、肝炎や肝硬変でも高くなります。
PIVKA-II 40未満 肝臓がんで高い値を示します。AFPより早期の肝臓がんに対して反応する検査です。
CA19-9 0~37 膵臓がんや胆道がんをはじめとする消化器系がんで高い値を示します。膵炎や胆道結石でも高い値を示すことがあります。
エラスターゼ1 0~300 膵臓がんの早期段階で高い値を示します。膵炎でも高い値を示すことがあります。
SCC抗原 0~1.5 肺がんや子宮頸がんで高い値を示します。
PSA 64歳以下~3.00、
65~69歳~3.50、
70歳以上~4.00
前立腺がんで高い値を示します。前立腺がんに対して感度が非常に高い検査ですが、軽度上昇では前立腺肥大も疑われます。
CA125 0~35 卵巣がんで高い値を示します。子宮内膜症、妊娠時や月経周期でも高い値を示すことがあります。

※検体検査は株式会社LSIメディエンスに委託しております。

参考資料:健康診断・人間ドックの検査結果の読み方 活用・指導のしかた(和田 攻著)