なぜ「がん検診」が必要なのでしょうか?

一生のうちに、女性は「2人に1人」が、男性は「3人に2人」が、がんにかかると言われる時代。がんは決して他人事ではありません。
しかし、医療の進歩により、がんは「早期に発見し、適切に治療すれば、治る可能性が高い病気」へと変わりつつあります。
がん検診の最大の目的は、「がんによる死亡を防ぐこと」です。
自覚症状がない段階で検診を受け、早期にがんを発見・治療することが、あなたの健康な未来を守る最も確実な方法です。
当機関では国が推奨する「5大がん検診」を中心に、精度の高い検査と丁寧な説明を通じて、皆様の健康づくりをサポートいたします。

女性生涯がん罹患リスク
男性生涯がん罹患リスク

※ 生涯がん罹患リスクとは、一生のうちにがんに罹患する確率を表します。
データ出典: 国立がん研究センター「がん統計」(2021年データに基づく)

知っておきたい「がん」の現状

日本人の死因第1位は「がん」です

現在、日本における死亡原因の第1位はがんであり、年間約38万人以上の方ががんで亡くなっています。
特に、当機関で検診を実施している「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮頸がん」の5つのがんは、わが国の死亡原因の上位を占めています。

がん死亡割合

データ出典: 国立がん研究センター「がん統計」
※各がんの死亡割合は統計の対象となったすべてのがんの死亡数を合計した数字に対する割合。

「早期発見」が生存率を劇的に変えます

がんは進行するほど治療が難しくなりますが、初期の段階(ステージI)で発見できれば、多くの部位で5年生存率は90%を超えます。
自覚症状が出てからでは、がんが進行しているケースが少なくありません。症状がない「今」受けとめることに意味があります。

病期(ステージ)I期とIV期それぞれの5年相対性上率比較

※5年相対生存率: がんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します。
データ出典: 公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2022」がん診療連携拠点病院等(都道府県推薦病院含)における5年生存率(2012-2013年診断例)

検診を受ける前にお伝えしたいこと

「継続」が最大の武器です

がんは、ある日突然巨大な姿で見つかるわけではありません。また一度の検診で全てが見つかるわけでもありません。定期的に検診を受け続けることで、前回の結果と比較ができ、小さながんの「兆し」を見つける確率が飛躍的に高まります。

推奨される間隔(1年または2年)で定期的に受診し続けることで、がんを見逃すリスクを減らすことができます。

検診の「有効性」と「限界」について

がん検診は、受診される皆様にとっての「利益(メリット)」が「不利益(デメリット)」を上回るように設計されています。当機関では、その両面を誠実にお伝えすることが、納得のいく受診につながると考えています。

利益: 死亡率を減少させる効果

国が推奨する5大がん検診は、科学的なデータに基づき「早期発見によって、そのがんで亡くなるリスクを確実に下げる効果」があることが証明されています。

不利益: 偽陰性と偽陽性について

がん検診は非常に優れた検査ですが、残念ながら「100%完璧」ではありません。

  • 偽陰性(ぎいんせい):がんがあるのに、検査で「異常なし」と判定されてしまうこと。
  • 偽陽性(ぎようせい):がんではないのに、検査で「要精密検査」と判定されてしまうこと。

私たちは、これらの不利益を最小限に抑えるよう、二重読影(2人の医師によるダブルチェック)や最新機器の導入など、精度の管理に日々努めています。

「症状」がある方は検診でなく「受診」を

がん検診は、健康で自覚症状がない方を対象とした制度です。

もし今、例えば「血便がある」「急に体重が減った」「長引く咳がある」「乳房にしこりを感じる」「不正出血がある」といった症状がある場合は、検診を待たずに、直ちに適切な医療機関(専門外来)を受診してください。

もしも「要精密検査」の結果が届いたら

精密検査は「必ず」受けてください

「要精密検査」という結果は、「がんが確定した」ということではありません。「詳しく調べて、本当に治療が必要な病気がないか確認しましょう」というサインです。
検診で異常の疑いが見つかった場合、そのまま放置してしまうと、検診を受けた意味がなくなってしまいます。健康な未来を確定させるために、必ず精密検査を受診してください。
主な精密検査の方法は、次の「5大がん検診・完全ガイド」でご確認ください。

精密検査結果の共有と連携について

当機関は、皆様が受けられた精密検査の結果を非常に大切に考えています。

  • 結果の共有:他の医療機関で精密検査を受けられた場合、その結果(診断名や治療内容)は、検診を実施した当機関及び市区町村が実施する検診の場合はお住まいの市区町村へと共有されます。
  • 目的:これは個人情報保護法の例外事項として認められており、主に「検診の判定が正しかったか」を検証し、当機関の検診精度を向上させるために活用されます。
  • 安心のサポート:結果を共有することで、次回の検診時に過去の経過を踏まえた、より適切なアドバイスが可能になります。

5大がん検診・完全ガイド

各検診の目的、方法、そして「もしもの時」の精密検査について詳しく解説します。当機関では、国が推奨する指針に基づき、精度の高い検査を提供しています。

肺がん検診

「男女ともに死亡数が多いがんです。喫煙歴がある方は特に重要です」

  • 受診間隔:毎年1回
  • 検査方法:胸部 X線検査。必要に応じて、痰を採取して調べる「喀痰細胞診」を併用します。
  • 精密検査:胸部 CT検査。X線より詳細な断層写真を撮影し、影の正体を詳しく調べ原因を特定します。
  • ポイント:禁煙・防煙は肺がん予防の基本です。当機関では禁煙や防煙に関する正しい知識の啓発も行っています。
胃がん検診

「死亡原因上位。早期発見で守られる命があります」

  • 受診間隔: 2年に1回
  • 検査方法: 次のいずれかを選択いただけます。
  • 胃部X線検査(バリウム):造影剤を飲み、胃の形や粘膜の変化を撮影します。
  • 胃内視鏡検査(胃カメラ):内視鏡を挿入し、胃の内部を直接観察します。必要に応じて組織の一部を採取(生検)して調べることがあります。
  • 精密検査:胃内視鏡検査を行います。直接粘膜を観察し、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して調べます。
大腸がん検診

「最も身近ながんの一つ。便検査だけでリスクがわかります」

  • 受診間隔:毎年1回
  • 検査方法:便潜血検査(2日法)。自宅で2日分の便を採取し、目に見えない血液が混じっていないか調べます。
  • 精密検査:全大腸内視鏡検査。
    内視鏡で大腸全体を観察します。必要に応じて組織を採取(生検)します。全大腸内視鏡検査が困難な場合はS状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用となります。
    ※ 重要: 便潜血検査で陽性となった場合、もう一度便の検査(再検)をすることは不適切です。必ず内視鏡による精密検査を受けてください。
  • ポイント:採便後は冷蔵庫など冷暗所で保管し、速やかに提出することが精度の維持につながります。
乳がん検診

「女性の9人に1人がかかると言われています。自分の乳房を意識する習慣を」

  • 受診間隔:2年に1回
  • 検査方法:マンモグラフィ(乳房X線撮影)。乳房を挟んで薄く伸ばし、撮影します。
  • 精密検査:マンモグラフィの追加撮影、超音波検査、穿刺吸引細胞診や針生検など。
  • ポイント:日頃から自分の乳房の状態を意識する「ブレスト・アウェアネス」を心がけ、しこり等の変化を感じたらすぐに受診してください。
子宮がん検診

「若い世代で急増しています。2年に一度の習慣が一生を守ります」

  • 受診間隔:2年に1回
  • 検査方法:子宮頸部細胞診。子宮の入り口の細胞を軽くこすり取って調べます。
  • 精密検査:コルポスコープ下の組織診、細胞診、HPV検査などの組み合わせ。
  • ポイント: 早期の子宮頸がんは自覚症状がほとんどありません。「検診でしか見つけられない」段階での発見が重要です。

その他のがん検診、オプション検査など

基本の5大がん検診に加え、ご自身のライフスタイルやリスクに応じて選択できる検査です。これらの検査には、それぞれ「利益(メリット)」と「不利益(デメリット)」があります。内容を十分にご確認の上、受診をご判断ください。

PSA 検査(前立腺がん)

  • 血液検査で前立腺がんのリスクを調べます。

胸部CT検査(肺がん)

  • X線では見えない微細な影を発見できます。
  • 不利益:X線に比べ、被ばく線量がわずかに増えます。

腫瘍マーカー検査

  • ご注意:腫瘍マーカーは、がんがある程度進行しないと数値が上がらないことが多く、単独での「がん発見」に対する有用性のエビデンスは限定的でPSA以外の腫瘍マーカーによるがんの早期発見は困難です。