1.アスベストとは?知っておきたい健康への影響と対策

アスベストとは

アスベストは、天然に存在する繊維状鉱物の総称です。「石綿」とも呼ばれます。
アスベストは、耐火性、断熱性、防音性などに優れているため、建材をはじめ、様々な用途に広く使用されてきました。
しかし、アスベストは、その繊維を吸い込むことで、肺がん、中皮腫、石綿肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになっています。

アスベストは、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、トレモライトの6種類に分類されます。

健康への影響

アスベストの繊維は非常に細く、肉眼では見えません。そのため、空気中に飛散しやすく、知らず知らずのうちに吸い込んでしまう危険性があります。
アスベストの存在自体が直ちに問題ではなく、飛び散ること、吸い込むことで健康被害を発生させてしまうため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。

アスベストによる健康被害は、吸い込んでから長い年月を経て発症することが多く、発症した場合は完治が難しいとされています。
主な健康被害として、以下の4つが挙げられます。

健康被害 グラフ

出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/
Q&A/index.html

肺がん

アスベスト繊維を吸い込むことで、肺細胞が損傷を受け、がん化することがあります。

中皮腫

肺や心臓などを包む膜(中皮)に発生するがんで、アスベストが主な原因とされています。

石綿肺

スベスト繊維が肺に蓄積することで、肺が硬くなり、呼吸困難を引き起こす病気です。

胸膜プラーク

石綿ばく露によって壁側胸膜に発生した胸膜の線維性の盛り上がり状態を意味します。

アスベスト対策

日本では、2006年9月以降、アスベストを含む建材の使用が原則禁止されています。
しかし、それ以前に建てられた建物には、アスベストを含む建材が使用されている可能性があります。
そのため、古い建物の解体や改修工事を行う際には、アスベストの有無を事前に調査することが義務付けられています。
アスベスト対策としては、以下の3つが重要です。

事前調査

建築物等の解体や改修工事を行う前に、専門業者によるアスベストの事前調査が必要です。事前調査では、建材の種類や状態などを確認し、アスベスト含有の有無を判断します。

除去作業

アスベストが使用されている場合は、専門業者によって適切に除去する必要があります。除去作業は、粉じんの飛散を最小限に抑えるために、厳重な対策を講じた上で行われます。

健康管理

アスベストを取り扱う作業に従事する人は、健康診断を受けるなど、健康管理を徹底する必要があります。また、アスベストにばく露した可能性がある人は、定期的に医療機関を受診することが大切です。

まとめ

アスベストは、健康に深刻な影響を及ぼす可能性のある物質です。古い建物の解体や改修工事を行う際には、アスベスト対策を徹底することが重要です。

労働衛生コンサルタント 公文 崇